不動産における心理的瑕疵とは、不動産(物件)自体に問題はないものの、住む人(買う人)に心理的な抵抗を与える欠陥を意味します。
不動産売却の際、売主は心理的瑕疵がある場合には買主に必ず告知しなければなりません。
このブログでは心理的瑕疵の定義や、瑕疵のある物件を売却する際の注意点などについて解説します。
不動産における瑕疵(かし)とは、土地や建物にある欠陥のことを指します。
瑕疵には4つの種類がありますが、なかでも扱いが難しいといわれるのが心理的瑕疵です。
不動産売却時においてはトラブルの原因になることもあるので、心理的瑕疵についてあらかじめ正しく理解しておくことが大切です。
(1)心理的瑕疵
心理的瑕疵とは、不動産が通常もっている品質や設備自体に問題はないものの、住む人に心理的抵抗や嫌悪感を与える瑕疵のことです。
具体的には、自殺や殺人、長期間放置された孤独死、火災、忌まわしい事件・事故などが当てはまります。
これらが過去に起きた土地や建物のことを、一般的に「事故物件」と呼んでいます。
(2)物理的瑕疵
物理的瑕疵とは、不動産そのものにある重大な欠陥や破損のことで、土地に対する瑕疵と建物に対する瑕疵に分類されます。
●土地の物理的瑕疵
・地中障害物
・軟弱地盤
・土壌汚染
・産業廃棄物埋め立て地
・擁壁の倒壊 など
●建物の物理的瑕疵
・雨漏り
・アスベストの使用
・壁のひび割れ
・シロアリ被害
・建物の傾き など
(3)法律的瑕疵
法律的瑕疵とは、法律や条例などの制限によって自由な使用収益が阻害されることです。
その不動産が建築基準法や都市計画法に反しているために生じる瑕疵で、具体的には下記の通りです。
●建築基準法
建築基準法とは建築に関する基礎的な法律で、住民が安全に暮らせるよう1950年に制定されました。
建築基準法に抵触する事例には、再建築不可の物件(土地)が「再建築できるものとして売られている」といったことが当てはまります。
●都市計画法
都市計画法は都市を適正に発展させることを目的として、1968年に制定されました。
建築基準法と同様に、住民が快適に暮らせるよう都市計画の基本を定める役割があります。
都市計画法に抵触するケースには、市街化調整区域のような「原則として建物を建てられない土地が、さも建物の建築が可能な物件として売却されている」といったことが当てはまります。
(4)環境的瑕疵
環境的瑕疵とは、不動産そのものに欠陥はないものの、現在の周辺環境に問題があることです。
具体的には、土地や家の近くに嫌悪施設(反社会的組織の事務所、墓地、火葬施設、高圧線、下水処理場など)がある物件が相当します。
売却する不動産にこれらの瑕疵が認められる場合、売主は買主へ告知する義務があります。
告知せず、買主の了承を得ないまま売却を行って後から発覚した場合、買主から修補請求や契約解除、最悪の場合は損害賠償請求を受けることもありますので注意が必要です。
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